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チファジャ [旅のお話]

2010年韓国満腹の旅 その11

チファジャは宮廷料理を饗するお店で ソウルに来た日にJCBプラザで予約を
取ってもらっていた。この日、タクシーの運転手に行き先を知らせるメモを
作ってもらおうと ホテルのコンシェルジュへ。
このお店に行きたいのでタクシーの運転手に見せるメモを作って欲しいと
切り出すと「あぁ、このお店は無くなりましたよ」と衝撃の告白。予約も
取ってあるはずだけどとよく聞いてみると、2箇所あったうちの1箇所は無くなり 
我々が予約したのは 残ったお店らしい。確かに、地球の歩き方に書いてある
場所は既に閉店していたらしい。

無事 メモを作ってもらい タクシーで現地へ。そこは国立劇場という劇場
の敷地内らしい。
タクシーを降りたところで 探すも それらしいお店はなし。ハングルが
読めないというのが致命的。敷地内で迷って途方にくれる。そこに通りかかった
韓国の男性。韓国語で話しかけられるも 我々は解らない。すると、英語で
「どこへ行きたいの?」お互いにつたない英語と手元の地図のハングル文字を
見せて「ここに行きたい」。
「ええっとそれは、あっちに行って 右に曲がってアーチのような所をくぐった先 
右側にあるよ」
確かに右に曲がって アーケードのような所を通った先にチファジャはあった。
ありがとうありがとう。本当にありがとう。こんな時に、いつか日本で迷っている
外国人が居たら 声を掛けようと心に決めるのだ。もちろん、迷っている日本人にも
声をかけるけどね。

時間が早いのか チファジャにお客さんは我々のみ。日本語が少し話せるスタッフが
説明をしてくれる。コースが幾つかあるけれど、ここでは神仙炉とパジョンを食べたくて
やってきたので、これが組み込まれているコースにする。
店内には 山と月と森が描かれた大きな絵がかかっていた。これは 昨日だったら
単なる絵として見過ごしていたけれど、景福宮で説明を聞いてきた今日ならその
意味が解る。これは王様がいらっしゃる所には必ず背後に掛けられている絵なのだ。
この絵の前に座るお方は王様なのだ。宮廷料理のこのお店にかかる絵としては 
これ以上は無いという絵。

最初にやってきたのは 綺麗に作られた干物。
チファジャ.jpeg
生栗や銀杏を焼いた物、煎った松の実に松の葉をさして花束のように束ねた物など
が並んでいる。中でも、白くて花を形取っている物は餅のような物で作った
柔らかくて少々甘い物に見えた。食べてみると、するめで作られた物だった。
これからスタートするこの宮廷料理は きれいに盛られた盛りつけもさることながら 
見た目で想像する味と全く異なる物が多く登場して非常に面白かった。

次に出てきたクジョルパンは皮が黄色、紫、白の3種類。それに細く細く切られた
人参、胡瓜、ゼンマイ、大恩などの具材を巻いていただく。中心に皮、外側に
オレンジ、白、茶、黄色といろんな色の具材が盛りつけられたお皿は絵のようにきれい。
カボチャ粥は牛乳が入っていないカボチャのポタージュといっていい物で、
真鍮製の器に盛られてきた。濃いオレンジのぼってりした粥は、きれいに
裏ごしされてのどに優しい。一緒にやって来た水キムチは赤いので辛いのだろうか
とちょっと身構えた物の、それ程辛くもなく優しい味わい。
その後にお皿に4品の前菜が盛り合わされた物がやって来て これでやっと前菜終了。

お次に登場するのは 生高麗人参を天ぷらにしたのの。しっぽの方は高麗人参の
形そのままにひゅんと細くなり、根本の方はちゃんと食べやすく切り分けられていた。
生の高麗人参なんて食べるのは初めて。おもったよりも薬っぽくなく でも人参
にしては薬草感がする。これを食べていると 体が丈夫になっていくのだろうなと言う気がする。
銀だらを焼いた物は日本の照り焼きみたい。これにマッチ棒を少々太くしたくらい
に切りそろえられた人参・胡瓜などを串にさして焼いた物が付け合わせで着いてくる。
これが、隙間がないようにびっちりと揃えてあるので、一見すると層状のパテの様に見える。

大正海老・アワビと高級食材が続いた後に お待ちかねの神仙炉。
神仙炉とは。日本で言うしゃぶしゃぶ鍋の様な中央が煙突状に盛り上がった
ドーナッツ状の鍋に色とりどりの具材を並べ、透明なスープがはられて出てくる。
下にはアルコールランプのような熱源があって 熱々の状態で食べられる。
人参、薄焼き卵や薄くスライスした蒟蒻など3センチ角、3ミリぐらいの薄さに
切りそろえられている。肉団子なども入っているので必ずしもそれだけとは限らないのだけど。
このスープがしみじみと美味しい。色とりどりの山海の珍味が入っている具も楽しい。
これは頼んだ甲斐があり。

ここまで来てメインディッシュの前のお口直し。シャーベット。
そして、骨付きカルビと松茸を陶板の上で焼いた物登場。そう言えば、韓国に
来たのに焼肉を食べていなかった。ここで初めての焼肉。食べやすいように
小さく切り離してあり、噛む度に出てくる脂と肉汁が非常に美味。松茸は日本の
物に比べると少々香りが薄いような気がしたけれど、噛みしめると中から
じゅっと美味しい茸の味がする。
ここまで終わって まだお腹いっぱいではなかった。メニューの品数が多かった
から最後まで食べきれないかと思ったけれど、大丈夫そうだねと相方と笑う。
これで小さなご飯であるビピンパでデザートなら最後まで行けそうだ。

ご飯が出てきてこの想像が間違っていたことが解る。そうだった、韓国の
ご飯って色々おかずが付くのだった。最後の最後に ビピンパと一緒に餃子スープ、
白菜キムチに白キムチ、松の実味噌、パリパリに揚げてある昆布、丸まま
醤油漬けにしたニンニク、大根のナムルと大きなお盆にお皿がずらり。
ああぁ、さすがにこれは食べきれない。最後に負けてしまった気分だ。
しかも、白キムチは水キムチのように見えて、食べると結構辛い。辛いと
思わずに食べたのでびっくり。

最初から最後まで これは何だろう?とか これはあれに違いないと
思っていても全く違ったりとか、そういう楽しい食事だった。そして、全体に
優しいお味。王様の体のことを思って滋養のあるもの、体に刺激が強すぎない物
と考えて作られている物なのだ。
見た目は非常に美しいけれど、食材は野菜が多く非常に健康的なお皿が多い。
お腹にもたれるような物はほとんど無い。最後の最後で完食出来なくなって
しまったけれど、王様が完食してしまったら料理が足りなかったのではないかと
料理人が責められるのではないだろうか。そう考えれば、この量も納得。
王様の屏風の前でいただく宮廷料理。多くの発見があって また食べにきたい味。

<チファジャでいただいたもの>
○ 進御味数
  乾き物
  クジョルパン
  カボチャ粥と水キムチ
  宮廷前菜特選
○ 進御特選
  生高麗人参の揚げ物と蓮根の甘酢漬け
  宮廷大正海老の松の実ソース和え
○ 進御小膳
  銀だら柚子醤油焼き・牛肉と野菜の串焼き
  ザクロの形の白キムチ
  アワビの醤油煮
○ 進御特選湯
  宮廷神仙炉
○ 進御お口直し
  韓国フルーツシャーベット
○ 進御大膳
  牛カルビと松茸焼き・梨と野菜のサラダ
○ 進御水刺
  ザクロ餃子スープとビビンバの御膳
○ 進御茶菓子
  宮廷茶菓子と果物

チファジャ
ソウル市中区ジャンチュン洞2街山14-67国立劇場
02-2269-5834
12:00-15:00 17:00-21:00

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mei

味がわからないものを食べるって結構どきどきですね。
いがーい!っていうのが楽しいですね(^^)。
by mei (2010-10-12 16:02) 

幸福もん

>meiさん
味が解らないものもそうですが、この味と思っている物と
違う物が続くのもどきどきです。
楽しかったですよ。
by 幸福もん (2010-10-13 22:00) 

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