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葡萄酒倉庫 [近所の食卓(札幌圏の飲食店)]

結婚記念日の前の日に、「明日はどうする?」と相方に問うと 「チーズはあるからパンを買いに行くか」。
結婚記念日の事を忘れていたらしい。あははと笑って「明日は結婚記念日だから食事に行こうよ」。
結婚記念日とか そんな記念日を祝いたいし 節目だから覚えていてほしいという事はあるけれど、誕生日や記念日を覚えているかどうかということで愛情を測る事はやめにしようと付き合い始めた最初の頃に思った。
ちょいと前までは覚えていても その時に忘れる事だってあるさ。忘れていたら 教えて一緒に楽しめばいいのだ。そんな風に思っている。

という訳で、直前に予約をして食事に行ったのは葡萄酒倉庫。
以前から名前は聞いていて 今年のさっぽろオータムフェストのシェフズキッチンで料理を食べて そのパテが非常に気に入っていたのだ。このチャンスに食べに行こう。

お店は円山公園と西18丁目の真ん中あたりで少々歩く。途中は住宅地で かなり暗くて斜めになっているところも多い。これは酔っ払っていたら転びそうだねと笑う。途中、気になる飲食店が幾つかあって ここも来たいねなどと話しながら歩く。
お店は気をつけていないとちょっと通り過ぎてしまいそうに あたりに溶け込んでいた。
扉を開けると 鰻の寝床のように奥に長い店内。一番突き当りにはワインカーヴがある。葡萄酒倉庫という店名によく合っている。というより、この場所が合ったからこの店名になったのかしら。

メニューを見るとワインバー的に使えそうな前菜と メインが幾つか。
コースだと前菜4皿にお魚・お肉、北海道産のチーズもついてくるというのでそれをお願いする事にする。
まずはグラスのシャンパンで乾杯。
そして、1皿目からがつんとやられる。蕪のぽってりしたスープに透明感のある黄金色のオイルが渦状に入っている。
これは、フランスにも輸出されているという「せたな町」でとれる菜種油を美味しく食べる為に作った料理だというのだ。スプーンで掬ってみると、ナッツのような味わいのある菜種油が本当に美味しく、たしかに蕪のソースがそれを引き立てている。油だけ食べ、ソースと一緒に食べとしていると 口の中に美味しさが広がる。油といってもさらりとしていて、このまま飲んでも美味しいのだろうけど、このセットだとより美味しいと思う。
美味しい食材があって、その食材の美味しさを引き出す為の相棒を見つけるというのはとっても大変な事だけど、そうしたいと思わせる力のある食材があるというのもいいね。
せたな町は北海道の南の方 奥尻島の対岸からちょっと北あたりにある町。そこで、こんなに美味しい食材があったのかと驚く。まだまだ私の知らない美味しい物が沢山あるのだと嬉しくなる。

お次に出て来たのはホタテのマリネの上にナスを煮た物を乗せ、その上に鰊のマリネを乗せ、針ショウガを飾ったもの。
葡萄酒倉庫.jpeg
全体が円筒形のセルクルで綺麗に形作られている。一番上の鰊のマリネは酸が淡くて鰊の味が立っている。この下になっているのがナスなのだけど、味噌で和えてあるようでナス田楽を思わせる味。その下にホタテのカルパッチョ。このセットって面白い。味噌田楽の和風の味に 酸がきつくない鰊のマリネ。なんだか不思議だけれど、ワインに合う。
こんな風にあわせてもいいんだと発見がある。

お次に出て来た牡蠣はSサイズの卵くらいはありそうな大粒牡蠣のスモークと 普通の粒のものはマリネにして違った味わいが一皿に盛り合わせてある。ぷっくりした大粒牡蠣にかじりつくと、中身はいい具合に固まっている。生牡蠣のじゅるんとした感じが嫌いという人も これを食べさせたら牡蠣を好きになってくれるのじゃないかな。ムースを少し固めたくらいの弾力がある。マリネはポン酢をジュレのように少し固めたソースがかかっている。こちらは生っぽい食感が残っていて 牡蠣好きとしてはこちらも捨てがたい。

今は季節を感じられるものが少なくなってきたけれど、山のきのこは 秋を感じる食材ですよね。と出されたのがきのこのスープ仕立て。北海道ではきのことりは山菜採りと並んで馴染みのあるアウトドアレジャーの一つ。私は行った事はないのだけれど、相方の父はきのこ取りが上手だったらしい。ぼりぼりというきのこは美味しいと聞いていたけれどまだ食べた事が無かったのだ。そのぼりぼりと初めて出会えた。
大きななめこと一緒に入っていたのだけど、黒っぽくてちょいとぬめりが感じられるきのこ。確かに美味しい。そうか、これがぼりぼりかぁ。

最後に出て来た仔羊はもも、背中、レバーと色んな部位が盛り合わせられてくる。出される時に、レバーはお好きではなかったら残しても…などと出してこられたのだけど、我々には非常に嬉しいものだった。
今まで 仔羊のレバーは食べた事が無かったけれど、鉄分があまり感じられず しっとりと非常に美味しい。確かに内臓の臭みはあるけれど、それは好きな人にとっては「香り」というべきシロモノだろう。
しっかりとかみごたえのあるももや程よく脂がある背中も美味しかったけれど、我々にとってこのお皿で一番はレバー。美味しかったなぁ。

北海道産の食材をふんだんに使い、今まであまり食べてこなかった組合せで食べるお皿はどれも楽しい。
季節も感じつつ、地元も意識して 味わえるのは本当に贅沢だ。
葡萄酒倉庫、とっても気に入ってしまった。

私が北海道で暮らし始めてからの年月は 結婚してからの年月とイコールなので 何年経ったかはすぐに解る。どんどんこの土地が好きになる。嬉しくも楽しい日々をありがとうね。またこれからもよろしくね。

<この日いただいたもの>
菜種油と蕪のスープ
鰊のマリネとナス、ホタテの前菜
牡蠣二種(大きなつぶ丸ごとスモークとマリネにポン酢風ジュレ添え)
きのこ(ぼりぼり、なめこ、しいたけ)のスープ仕立て
白身魚のグリル ずわい蟹と浅利のソース
仔羊のロースト もも・背・レバー
チーズの盛り合わせ
栗とリンゴの甘煮とガトーショコラ、アイスクリーム
エスプレッソ
グラスシャンパン
赤ワイン:

葡萄酒倉庫
札幌市中央区南3条西22丁目2-7ブローニュ円山1F
011-614-5430
18:00-25:00(24:00L.O.)日祝は22:00L.O.
月曜+不定休

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涼

記念日、おめでとうございます!!
しかも素敵なお料理のお店で
うらやましいです~。

卵のSサイズくらいの牡蠣って・・・。
牡蠣大好きなので、食べてみたいです。

レバーは、昔、家でよく食べさせられて。
貧血にいいのだからって。。
分かるのですが、やっぱり苦手です。
でも、子羊だと、よく食べさせられていた
豚とは違うんでしょうね~。

チーズの盛り合わせも好み。

私は結婚してから、すぐに奈良、千葉、現在札幌と
北上してきました。
もうずっと、札幌永住予定です♪
by 涼 (2010-10-29 20:55) 

うさこ

結婚記念日ですね。おめでとうございます。そんな日にふさわしいディナーになりましたね。特に、ぼりぼりって、とっても気になります。食べてみたいな。
冒頭のお話が印象に残っています。うちは結婚式や引っ越しなどが別々で、どれが記念日か曖昧。でも決まっている誕生日などでも、忘れはしないものの相手がケーキを買ってくれるのを待つ間につい力が入ってて、それに気づいて自分で呆れることも。覚えておきたい、何かやりたい、そんなことはその都度、素直に話して、肩の力を抜いて、お互いからの小さな積み重ねで自分たちなりの良い関係を作っていけたらいいな。なんて思いました。一番早いのは結婚式を挙げた日で、来週です。幸福もんさんたちと近いですね。ちょっと嬉しい。

by うさこ (2010-10-29 21:43) 

幸福もん

>涼さん
ありがとうございます。
レバーってあの鉄臭い感じが嫌われる元ですね。
豚と羊も違うのでしょうが、作り手によって大きく左右
されると思います。
よく下処理されたレバーはネットリした食感で美味しいですよ。
ただ、食は好みもありますからね。
嫌いな人ほど、美味しい料理人の料理を食べて美味しさを見つけて
欲しいです。

>うさこさん
ありがとうございます。
うさこさんの記念日は今週でしたか?
よい記念日で有りますように。
一つ一つの記念日の積み重ねが よき思い出となって幸せな日々が
続くのだと思います。
一つの嬉しい思い出を何度も取り出して眺めて見ると、ちょっといやな
事があってもにっこり笑える気がします。
よき思い出が沢山積み重なりますように。
by 幸福もん (2010-10-31 21:06) 

mei

結婚して15年、結婚記念日に食事にいったことがありません。
2人で食事に行きたいもんだ。
と思ってはいるのですが、夫は行きたくないみたいで(^^;;。
うらやましいです!
by mei (2010-11-01 15:40) 

幸福もん

>meiさん
meiさんのところはお子さんもいらっしゃるのでっていうのも
あるのではないでしょうか。
れんさんはmeiさんのお料理をご自宅でゆったりと食べるのが
お好きなのでしょうね。それもまた良い記念日ではありませんか。
by 幸福もん (2010-11-01 23:03) 

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