SSブログ

いたる本店 [遠くの食卓(国内の飲食店)]

2010年春の列車の旅 その6

金沢が城下町だなぁと感じるのは 曲がりくねった道を歩くとき。
お城の近くの道は曲がりくねっているところが多く、敵に一気に
攻められないように出来ている。
21世紀美術館のすぐちかくの曲がりくねった道を歩いていくとある
のが「いたる本店」。建物の壁に大きく「酒と人情料理いたる」
と書かれている。

カウンターに座ると板さんが目の前で料理をしているのが見え、
右奧にはサラマンダーも見える。これまた特等席。
季節のメニューを見ると白えびと金時草、太胡瓜などが見える。
黒板には今日入ったお魚が書かれている。季節のメニュー以外にも、
通常メニューも有りますと出されると、どれもこれも食べたくて困る。
ここはやはり、他ではなかなか食べられない地元のものが食べたい。

「きんときそうのおひたしと…」というと金時草は「きんじそう」と
呼ぶらしい。初めて知った。金時草は葉の裏が紫色、表面は緑の加賀野菜。
丁度今時期が旬なのか、町でも見かけた。ちょっとぬめりのある食感が特徴的。
沖縄の伝統野菜ハンダマと同じ物だと思われる。ハンダマは何度かOisixで
取って食べた事がある好きな野菜の一つだ。その金時草をお浸しは透明の
出汁を張った器に茹でたハンダマがのってその上におかかがゆれながらやって来る。
醤油では強すぎるのだろう。しゃくしゃくとした歯ごたえとぬめりを楽しむ。

太胡瓜というのもこの時期の物らしい。出てきてびっくり。半分に切って
中心部のタネを除いたと思われる胡瓜がスライスされて出てくる。
いたる.jpeg
直径は10センチ近くあろうかというもの。胡瓜というより、瓜といった感じの大きさ。
皮が固いようで、生で食べる梅肉添えでは皮は全て剥いてあった。胡瓜よりも
もっと身がしっかりしていて固めのメロンといった味わい。なかなか美味しい。

板さんの話によると、太胡瓜は生で食べることは少なく、大体はくったりと
煮込んで食べるらしい。特に、夏は煮込んだ物をひんやりと冷やして食べる
という。そう聞くと食べたくなってしまうよ。では太胡瓜のあんかけを。
これは太胡瓜を出汁で煮込んで飴色になった物に出汁ゼリーの様なあんがかけ
られたもの。ガラス製の器にひんやりと冷やされて出てくる。冬瓜を煮た様な
味わい。これはうまい。しっかりとした太胡瓜だから出来る事なのだろうな。

もちろん、野菜だけではない。魚もうまい。
刺身の盛り合わせの小おけをいただくと、海老、ハマチ、ヒラメ、ビンチョウ
マグロなどが乗ってきたのだけど どれも1切れ1切れがたっぷりしたサイズ。
金沢にあがる魚がたっぷり多べられる。
しめ鯖もまたたっぷりと分厚いサイズ。酸も塩分も控えめで生っぽいしめ方ながら、
ちゃんと水分は抜けていてぷりっとした締まった身が美味しい。
そして、季節物の白海老。シラウオぐらいの大きさの小さな海老。白海老の刺身は
身の部分だけが山盛りになって出てくるのだけど、1匹1匹が小さいので 殻を剥く
のがさぞ大変だっただろうと思わせる。鮮度が良くないと殻がうまく剥けないらしい。
これがあまりに美味しいので、かき揚げもいただく。
桜エビをやや大きくしたくらいの海老だから かき揚げもまた美味しい。香ばしい
香りと潮の香りがまざって何とも言えない。

もちろん、刺身だけではなくのどぐろを焼いた物や岩牡蠣を焼いた物もいただく。
特にのどぐろは サラマンダーで時間をかけてゆっくりと焼いていた。サイズは
やや小さめながら 美味しくって頭まで箸でちまちまほじりつつきれいにいただく。
恥ずかしくなるくらい骨までしゃぶったみたいな物しか残らなかった。

金沢ならではの食材を丁寧に作っている料理の数々。
盛りつけも華美ではないけれど、料理を主体にしつつもきれいに盛りつけられてくる。
でも、敷居は低くて肩が凝らないお店。金沢の地元食材を堪能できる。
金沢に行ったらまた行かねばならない。季節を違えてまた行ってみたいなぁ。

<この日 いただいたもの>
付き出し
刺身小おけ
岩牡蠣 焼き
金時草のおひたし
太胡瓜の梅肉ぞえ
白海老のさしみ
白海老のかき揚げ
しめ鯖
のどグロやいたもの
岩もずく
太胡瓜あんかけ
温玉じゃこめし
ヱビスビール
天狗舞純米生蔵出しミニタンク

いたる 本店
金沢市柿木畠3-8金城ビル1F
076-221-4194
17:30-23:30 日曜休み(祝前日の場合は翌日休)
近くに香林坊いたる、魚焼いたるなどがある。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。