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エルミタージュ・ドゥ・タムラ [遠くの食卓(国内の飲食店)]

2010年春の列車の旅 その13

ここを知ってしまったから こんなに何度も軽井沢に通うように
なってしまったのだ。
タクシーでここに到着し マダムに迎えていただくたびに そう思う。
ゆったりとした時間をかけていただく食事と、その空間が好きだから 
こんなに通ってくるのだろう。
メニューを迷うところから 楽しみが始まっている。

最初にパンにつけたりして使う3種のソースがやって来る。その一つが
黒オリーブで作るタプナードソース。先日 我が家でも作ったもの。
舌の上で、我が家のタプナードソースには何が足りなかったのかと探してみる。
自分で作ってみると、何が足りないのかちょっと見えてくるような気がする。
まずはもっと細かく砕いてソース状にするところからだね。

最初のお皿は 立派なアスパラを1本丸まま パートブリックでくるりと
巻いて揚げた物。外側のかりっさくっと言う歯ごたえと、アスパラの
ジューシーな感じが嬉しい。長野も北海道と肩を並べるアスパラの産地だった。
地産のものをその土地でいただくというのは 理にかなっている。フード
マイレージも短く、鮮度が落ちやすいアスパラも美味しくいただける。
やっぱり美味しい物は食べに来なくちゃ。まぁ、人が移動する方がエネルギー
が必要なので 本当に良いことなのかはよく解らないのだけど。

この時期に来て嬉しいことが 桃のスープが始まっていること。
桃のスープはエルミタージュ・ドゥ・タムラのスペシャリテ。凍らした桃の
中心部をくりぬいた器に桃のスープが入っている。桃というと、ネクターの
とろんとした粘度の高い物だと思いがちだけど そうではない。さらりと
しているのだけど、しっかりと桃の香りがするスープ。決してデザートの味
ではなく、スープなのだ。メニューに桃のスープを見つけると そうだこの
時期が始まったのだと嬉しくなる。

凍らした桃の器は食べているうちに徐々に溶けてくる。手でふわっと押すと
皮から実が離れて食べられますよと言われて 嬉々として食べる。まだ固め
の甘すぎない桃。本物の果肉のシャーベットのようなしゃりしゃりした食感を
楽しむ。蓋の部分は溶けるのが遅いのでなかなか食べられない。
すると、マダムが蓋を乗せる用の小さなお皿を持ってきてくださって、時間が
経って溶けた頃に囓ってみてくださいと置いていってくださる。相方は笑って
下げて貰ったけれど、私は次のお皿の合間などに 半分溶けたところをカジカジ。
食べられるものは隅から隅まで食べる方が ゴミにもならず 食材をしっかり
食べきっていると言うのが気持ちよいのだ。

ここの料理は、1皿にいろんな食感の食材や調理をした物が乗っていて 
とても楽しい。次に出てきたのは穴子の半身に衣をつけてかりっと焼いて 
トマトソースの上に乗せた物。中骨1本をかりっと揚げた物も乗っている。
エルミタージュ・ドゥ・タムラ.jpeg
そのどれもが違った食感で楽しいのだ。ふんわりとした穴子は皮近くはかりっ
として ソースにふれているところはちょっとしんなり。そして甘酸っぱい。
中骨はぽりぽり。
穴子は明らかに半身で骨は1匹分がそれぞれに乗っている。相方はこれって、
どうなっているの?と不思議がるけれど、もう半身は違う料理になっている
のではないかという結論になった。ムースのような物になっているかも
しれないし、穴子ボールになっているかもしれない。必ずしも我々の皿に
なっている必要はないのだ。
そんな風に料理について不思議がったり、美味しさに目を細めたりしながら
ゆったりと時間を過ごす。18時ごろに到着したときには まだうっすらと
明るかった外はとっぷりと暮れ 外のキャンドルには火が灯されていた。

食後のデザートは3品の中から選ぶことが出来る。オーソドックスな物に
混ざって 毎回斬新な物が含まれている。今回の斬新メニューは木の芽の
プディング。木の芽というのは、山椒の葉のあの木の芽。
もちろん、我々はその斬新メニューを愛しているのだ。
出てきた木の芽のプディングはうす緑色。口元に運ぶと 木の芽の香りが
かすかにする。食べてみると口の中に木の芽の香りが広がる。あ、木の芽だ。
斬新メニューは 耳で聞くとちょっと驚くものだけど、食べてみるとちゃんと
美味しく御してあるのが不思議。そのギャップがまた楽しいのだ。

フロマージュ付きのフルコース。今回は相方も大丈夫だったよねと見てみると
「やっぱり結構お腹いっぱい」。まぁ、前回は最後のお皿の半分位を私に
譲っていたことを考えると 最後まで食べられて良かったね。
フルコースをいただくには 丈夫な胃腸も大事だと思う。
美味しい物をいつまでも美味しく食べるために また健康でありたいと思うのでした。

エルミタージュ・ドゥ・タムラを後にしてタクシーに乗っている時もまだ
嬉しい気持が続いている。
美味しい料理の力と、それを支える空間って 偉大だなぁ。
また来なくっちゃ。

<エルミタージュ・ドゥ・タムラでいただいたもの>
アスパラのパートブリック巻き
桃のスープ
穴子のグリル トマトソース
白身魚のサラダ仕立て
根セロリとうにのフラン ロワイヤル
貝のスープ煮
ウサギのロティ
蒸しアワビ リゾット添え
白身魚のグリル 海苔のソース
鶏のベーコン巻き
米粉のパン
フロマージュ
木の芽のプリン
サクランボのフロマージュ仕立て
エスプレッソ
泡:TAITTINGER
赤:GEVREY-CHAMBEREY 2005

エルミタージュ・ドゥ・タムラ
軽井沢町松並木通り3874-2
TEL:0267-44-1611
12:00-13:00 18:00-20:00
完全予約制
夏場は月休み(祝日の場合は翌日)

前回 エルミタージュ・ドゥ・タムラに行ったときのお話はこちら



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