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町家の鍵と暮らし [旅のお話]

京都食べ歩きその3

畳の床に座って 箱庭の灯篭などを眺めていると 祖父母の家に
夏休みに遊びに行った事を思い出す。ガラスの入った引き戸には、
すりガラスで模様が描かれて、全てが見通せるわけではない。
ただ、隙間からのぞくことが出来る風景はそのまま素で見るの
とはまた違っている。

トイレの扉には木っ端を横にスライドさせて柱に穿った穴に
差し込むようなカンヌキ構造。鍵は丸カンにハテナのマークの
金具を引っ掛けて掛ける鍵。(これってなんという名前なのか
調べてみたのだけど、判らず。何か名前があるはずだけど、
判っても人に説明するのに一般用語として使えないかもしれない
と断念)木枠にガラスが入った窓も、ねじねじと棒をねじ込む昔式
のもの。今の子供は見たことがなさそうな「懐かしい」鍵の数々。
どれもこれも工業製品というよりは 人の手で作られている感じ
がして うまく出来ているよなぁなどと思ってしまう。
町家玄関.jpeg
玄関の扉は引き戸一つに小さな鍵がかかっているだけ。
すぐ外が六角通りになっていて、外を歩く人の声や車の音がはっきり
と聞こえる。外と家を隔てるのは、黒い木製の格子とその中に
窓があるのみ。窓は木枠に模様入りのすりガラスが入っている。
外からのぞこうと思えば、ガラスの模様部分と外の格子の間から
中がのぞけるだろう。逆に、外が賑やかな通りに面しているのから 
不審な人は目立ってしまって そんな事をする人はいないのだろう。

ご近所さんは顔見知りばかりで、他人の住宅の中が通路にまで
なっていたりする。
顔見知りのコミュニティーの中で暮らすと言うことを前提に
考えられている構造。ちょいと前までそんな暮らしがあった。
今もそこにはそんな暮らしがあるのかもしれない。

いつも集合住宅に住んでいて 外部の人の声などとは離れた
生活を続けているせいもあって、この外を通る人の声が鮮明に
聞こえる状況が落ち着かない。だって、窓一つ隔てた横には
通行人がいるのだ。玄関も、扉を開けるとうちの奥まで見えてしまう構造。

この構造の違いは 京都の料理店やお店などでもよく感じた。
特に今回行ったお店が、繁華街の真ん中と言うよりは 昔から
の店構えそのままだったり 昔の敷地を使って建物は新しくした
お店などが多かったからかもしれない。お店の扉をあけると、
店の奥の客席まで寒い空気がどーんと入ってしまいそうな構造。
札幌に長く住んでいると、扉が沢山あって 冷気が一気に入って
いかない構造の建物に慣れてきていた。だから特に今回は「違い」
をはっきりと感じたのだろう。

札幌には札幌の 雪国ならではの構造と、相互扶助でなりたって
いた開拓時代の名残も感じられるところがある。そんな土地土地の
歴史と気候で家と町が出来ている。そんな事を考えた。

タグ:町屋
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