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京都国立博物館 [旅のお話]

京都食べ歩きその7

食べるだけでは間が持たない。と言うわけで今回行こうと思って
いたのは京都国立博物館。
御即位二十周年記念 京都御所ゆかりの至宝-甦る宮廷文化の美-と
言うのをやってるのだ。
十年に一度というこの時に国宝や重要文化財などが数多く開示されて
いる。私自身はそれ程 宮廷文化に興味があると言う訳ではないの
だけれど、良いものは見ておきたいし、美術工芸品には興味がある。
と言うわけで行ってきた。

素人目に興味深い物も沢山あったのだけど、最初に気がついたのは
御物という言葉。諸々の作品には所有者が明記してある。宮内庁
所有物のと言うのが一番多いのは解るのだけど、その宮内庁にも
宮内庁京都事務所とか宮内庁三の丸尚蔵感などと細かく分かれている。
それ以外に御物(ぎょぶつ)というものがある。御物とは、何だろう
と思ったときに英訳でimperial collectionとあって納得がいったのだ。
天皇の私有物を指す言葉なのだ。御物は文化財保護法の指定対象外と
なり国法にも重要文化財にもならない。
そんな、なかなかお目にかかれない物に出会ってきた。

肖像から屏風や壺などの美術品、十二単などの衣類、身の回りの
品々などの工芸品、宗教に関する品々などの他に私が特に気に入った
のは屋内を彩る物の数々。ふすまの取っ手に当たる部分が美しい彫金で
作られ、釘隠しのお飾りが精密に作られている。
イラストは釘隠の一つ。
至宝.jpeg
手のひらに載るほどの彫金細工は今も美しい。よくこんなに細かく
彫り、写実的に仕上がっている物だと息を凝らしてみいる。
天皇がおわすお部屋のそれぞれに こういった飾りがついていたのだ。
そして、同じ御所の中でも 天皇が目にすると思われるお部屋の普請と、
侍女の控えの間の普請では金の使われ方や絵が違う。どちらも美しく、
他から見れば豪勢に作られているのだけど、やはり 天皇の目に触れる
場所とそうではない場所では明らかに替えて作られている。だから、
天皇のおわす あるお部屋のふすまが汚れたからと言って、別の部屋の
ふすまと取り替えるわけにはいかないのだ。もちろん、それぞれのお部屋
お部屋で考えられ、それ専用に作られる丁度の数々。基本的に全て注文制作
なのだ。他に替えは無い。

また、刀なども私がイメージしていたのは帯に挟むようにして刺して
いる江戸時代の武士の姿なのだけれども、昔の刀は刀のさやに二カ所の
つり下げ用のベルト通しのような物が付いていて、そこにひもを通して
腰にぶら下げていた。刀のさやは身体に付いていたのだ。刀を抜き去って
さやを投げ捨てるなどという芸当は出来ない。
長く続く日本の歴史の中で、私が持っている「昔」のイメージは本当に
限定的な時期・場所の物ばかりでまだまだ知らないことが沢山あると思い知る。

展示物の中で一番気になったのは、天皇の冠。烏帽子の上にかぶる
ように出来ている物で、アメリカの大学修了者がかぶるような帽子
が金属で出来ていて、そこにビーズと彫金の花などが飾られた
すだれが180度全面についているのだ。その細工が細かく、ビーズも
美しい。さすがに今 こんなお帽子をかぶって出かけるというわけ
にはいかないけれど、かぶったところを見てみたいし、金が貼って
あったのであろう冠のきらびやかなるときを思い浮かべる。
100本以上のビーズを通したすだれも、御用達の職人が手間と時間
をかけて 一心に作ったのだろう。天皇にお使いいただくというのは
誇らしかったことだろう。
そう思いながらみる。

今後もなかなか見ることが出来ないお宝の数々が揃うこの特別展。
興味があったら言ってみることをお奨めしたい。

京都国立博物館
京都市東山区茶屋町527
075-525-2473
京都御所ゆかりの至宝 甦る宮廷文化の日
2009年2月22日まで 9:30-18:00 月曜休み

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コメント 2

うさこ

テレビで時々見る程度だけど、imperial という言葉で表される人の暮らしや気持ちが、離れすぎてて却って気になったりします。京都また行きたくなってきました。
by うさこ (2009-01-27 19:19) 

幸福もん

>うさこさん
歴史の本の中で文字として読んでいた時代の物が現存するというのは
素晴らしいと思いました。
本当にあったことなのだと思えました。
by 幸福もん (2009-01-27 22:12) 

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