十丸（じゅうまる）

大人の焼肉やのコンセプトだというこのお店、ちょっと興味があった。
各テーブルには無煙ロースターがあって　洋服に気をつけ
なくても大丈夫。大体、焼肉やジンギスカンはいきなり
思いついていくわけには行かない。特に女性を誘って行こう
と思ったら、明日は焼肉に行くからねと一言言っておいて
ほしいと言う人は多いと思う。朝　家を出る時から　
焼肉OKの服で出かけないと。特に旨いジンギスカン屋は　
殆どの所が煙にいぶされることになるから。

注文を終えると、まずは注文していないタンシチューが出てくる。
お通しみたいな物。炭や肉の準備が出来るまでの間にこの
タンシチューをいただいて待つと言う感じ。デミグラス
ソースがこってり出来上がった中に　マッシュポテトが
沈んでいる。ちょっとぽってりしたこれをいただいていると、
がつがつした感じがなくなってくる。落ち着いて食事を
するのに、ちょいと小腹を静めると言うのは大事。

肉はどれも美味しい。美味しいお肉は脂が美味しいと
またしても実感する。中でも楽しかったのは砂肝。
砂肝一つ一つに菊花蕪のように格子状に切り目が入っていて　
網の上に乗せて炙ると段々と花びらが開くように　
花咲いてくる。こうなったら他の面も焼いて食べてください
と言われてやってみる。本当に焼けてくると花開いてきて　
動画で収めたくなる。綺麗に開いてくる様子を見ていると、
タコさんウィンナーを思い出す。そうやって出来た花の
ような砂肝は　噛み切り易くて食べ易い。砂肝はこりこり
と固い歯応えが身上だけど　まるままだと大きすぎて口の
中が一杯になってしまって噛み切りにくかったりする。
それが、包丁を入れてあることで噛み切り易く　こりこり
とした歯応えも楽しめる。焼いている最中も楽しく、
食べても食べ易く　美味しい。これは自分でもやってみたくなる。
この他のどのお肉も　生肉も　燻製の様に手間を掛けた
物も肉の美味しさが良く判る。

そして焼き野菜が楽しかった。焼肉の焼き野菜と言うと、
キャベツ・玉ねぎ、ナス、ピーマンと言った所を思い浮か
べるけど　そんな物ではなかった。串に刺さった銀杏は、
そのままだとちょっとくすんだ黄色だった物が、火が通る
につれて透明感が出てきて宝石のように輝いてくる。
皮のままのヤングコーンやソラマメ、ちいさな筍は全て
皮のまま七輪に乗せて皮が焦げるくらいまで焼いて、
焦げた皮をむいて中身を食べる。あちちっと言いながら
皮をむいてほくほくした中身を食べるのはとても楽しい。
皮をこげるまで焼くというところがポイントだ。ホド芋も
真っ白な身がほろほろと感じられて美味しい。こんな珍しい
物が色々出てくるのだからたまらない。
この他にも太いアスパラなど炭火でちょいと香ばしく
焼き上げて食べると　塩だけで充分美味しい。

また、直径10センチ程の小さな鍋にオリーブオイルと
青森産ニンニクを入れて七厘の隅に置いておき　揚げ煮
になったニンニクを食べると　ほくほくとしたニンニク
の身が美味しい。最初に+100円のガーリックライスをと
頼んでおくと　ニンニクを食べ終えたオリーブオイルに
ご飯を入れてガーリックライスを作ってくださる。
オイルが入った小さな鍋にお茶碗に軽く1杯くらいのご飯
をぎゅぎゅっと詰める。そのまま少し七厘の上で焦げ目を
つけて　香ばしさを出す。良さそうになったら醤油を回し
いれて　お皿にポンと逆さにすると　プリンを型から出した
ように　上に焦げ目が付いて、ガーリックオイルを充分
吸ったガーリックライスが出来ている。お店の奥様が
「せっかくニンニクの香りが付いたガーリックオイルを
全部食べていただきたいと思って考えだしたのです」と
おっしゃる。あぁもういただきますとも。しっかり味わい
つくすって言うのはなんだかとっても嬉しい。
残った美味しい油を捨ててゴミにするのはいたましい。
こんなにおいしいんだから。〆のご飯までいただいてとっても満足。

是非また行きたいお店。
ただ、食べ盛りの高校生を連れて行くにはかなり覚悟が
要りそう。大人だけで行く事をお勧めしたい。

＜この日いただいたもの＞
タンシチュー
つくね
牛ハラミ
鶏砂肝
富良野ポークの燻製
牛ホルモン
焼き野菜（しし唐・ヤングコーン・ソラマメ・アスパラ・銀杏・筍・ホド芋）
軍鶏
エビスビール
ワイン：ＰＥＰＰＥＲＷＯＯＤＧＲＯＶＥ　ＭＥＲＬＯＴ
　アナケナを思わせる味。

十丸（じゅうまる）
〒006-0063 北海道札幌市中央区南3条西2-6 KT3条ビルB1
TEL　[phone]
17:30〜24:00(L.O.23:30)　
第2・3月曜休み

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