ビストロヴァンテール：あじのねた：SSブログ

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ビストロヴァンテール　[近所の食卓（札幌圏の飲食店）] [編集]

誕生日が近づいたある日、相方とすすきのを歩きながら、そうだ
誕生日ディナーはヴァンテールに行きたい！と主張していた。
その後、2週間程して
「そう言えば予約してくれた？」「どこに行きたいんだっけ？」
漫才みたいなこんな会話の後、無事予約をしてもらって行って
きましたヴァンテール。ほぼ1年ぶりくらい。ここの所、居酒屋や
ワインバーなどをはしごするという外食が多かったので、フルコース
をというのは久しぶり。

ヴァンテールはビストロと銘打っているけれど、フルコースで食事を
したいので　ややフォーマルなお店の位置づけのフレンチのお店。
思いついたその日にふらりと行くというよりは、予約をして洋服も
ちょい気にしていきたい感じ。
前回は、食べたい1品があったのでアラカルトで頼んで2人で分けて
食べたのだけど、今回はコースのみで。特に、一頭買いをしている
という仔羊が食べたかったのだ。
料理を決めたらワイン。ヴァンテールは札幌では有名なワインスクール
代表がオーナーのお店。そしてこの日は店頭でソムリエとして接客を
してらした。料理を説明して選んでもらう事にする。好みは？ご予算は？
と質問に答えて後はお任せ。すると、スペイン産のタンニン分の多い　
しっかりとしたワインを選んでくださった。さすがプロの仕事。

まずはシャンパンをグラスで貰って乾杯。アミューズをつまみながら　
これからの美味しい料理を思い浮かべて幸せになる。アミューズは
チーズを練りこんだプチシューや、オリーブを生ハムで巻いたものを
楊枝に指してあるなど手で摘める物がお皿の上に並んでいる。この、
食事の最初の方に手でつまむというのは　なんだか食欲を掻き立てる。
ナイフやフォークで食べる物ももちろん美味しいけれど、手で直接
触れるというのは、触感を刺激する。

次にやってきたのは仔羊の色々な部位を少しずつ集めて刻んだタルタル。
軽くまとめたパテというのだろうか。やや粗めにきざまれたのは、
バラエティ豊かなラムの肉。噛んでみても、こりっとしたものあり、
柔らかい物有り、じゅわっと味がしみ出る物有りといろいろ。それに、
穀類や緑豆のような豆などが一緒に合わさっている。豆のぷちぷちした
良いアクセント。麦のような穀類に味が染みている。

もう一つの前菜はフルーツトマトと魚と蝦夷アワビ、ゆるいゼリーを
セルクルで円筒形に仕上げた物。上には大振りの塩水うにが乗っている。

大振りってどれくらいかというと、縦1.5センチ、横3.5センチぐらい
のうにがくるんとまるめてトッピングされているのだ。くるんと丸めた
真ん中にはキャビア、そしてその上に金箔がひらひらと風に揺れていた。
ふんわりとしたそのうにの大きさにまず驚く。そしてフルーツトマトの甘さ、
ゼリーはゆるく舌の上でしゅぅっと溶けて主張しない。ひんやりとした
前菜を食べながら、にっこり。何だかとっても贅沢なお皿。

クネルは、エビカニの美味しいソースがメインなのではないかと
思わせるもの。もちろん、中央に鎮座するふんわりと形作られた　
はんぺんのような白身魚のムースも美味しい。美味しいのだけど、
この料理は甲殻類のソースが圧倒する。耐熱の皿ごとオーブンに
入れてあるので、皿の端にこげたところがくっついている。それを
みじみじかきとりながら　お皿をなめる勢いでパンで磨き上げる。
ソースもたっぷり入っていて、1個半は残っていたパンがあらかた
なくなってしまった。
そして、ふと気が付くとワインが進んでいる。いかんいかん、
先ほどお隣のテーブルにチーズワゴンが運ばれていったのを見たので、
食後にはチーズを食べたいと思っているのだ。食後のチーズの分
までワインを残さねば。

最後が仔羊の色々な部位をグリルした物。一頭買いしているという
だけあって、普通のリブロースなど以外にもモツを使った料理が
出てきて楽しい。花ズッキーニの中にはタンをミンチにしたものが
詰まっていた。これにはタラゴンが使われていて甘い香りがラムを
引き立てている。サラダにはハツを焼いた物がローズマリーの枝に
刺さってきた。このハツが表面がかりっとしていて　仔羊の香りが
して美味しい。ラムのモツは一つ一つが小さいし、普通は捨ててしまう
物なのだろうけど、こんな風に色んな料理に仕上がってきて食べられる
のは、色んな食感が楽しめてうれしい。もちろん、真ん中にどーんと
乗ってきたロースは表面香ばしく、中はローズ色でとっても美味しい。
添えられていた野菜が、今が旬のトウキビと黒大根。北海道って
美味しい物がいっぱいじゃないか。

香りのあるラム肉に負けない、しっかりとしたワインを楽しんで、
ソムリエとワインはどうでしたか？などと問われてお話していて　
実は…とこのワインの値段を教えていただき　予算の2/3程度と
いう事に驚く。非常にコストパフォーマンスが高い。
予算以上の満足感に予算を大きく下回る値段。本当のプロの仕事だ。
ありがたい。こういうお店はまた行きたくなっちゃうなぁ。

チーズの時までワインを残しておくのが大変だったけれど、無事　
ワインと一緒にチーズも食べられて、しっとりと洋酒がしみこんだ
サヴァランも美味しくいただく。あぁ、最後の最後迄幸せだ。
とっても良い誕生日ディナー。

＜この日頂いたもの＞
アミューズ・ブーシュ
仔羊のいろんな部位をあつめたタルタル
海の幸とフルーツトマトのコンソメジュレ
フランス産フォアグラのソテー　夏トリュフ添え
クネル
足寄　石田めん羊牧場　仔羊のロース
チーズ（共働学舎のコパン・プチプレジール・フランスのウォッシュ）
ワイン：トーレ・デ・バレータ・アミーゴス2004　スペイン産シラーのワイン
サヴァラン
小菓子
エスプレッソ

ビストロ　ヴァンテール
札幌市中央区南3条西2丁目KT3条ビル　1階　都通路面
011-232-2022
日曜定休
12：00〜14：00　18：00〜21：30

以前　ヴァンテールに行ったときのお話はこちら