花季の夕食 [旅のお話]
初夏の旅 その8
夕食は1階の食事処で供される。
10畳くらいの畳のお部屋に6人くらいは座れるのではないかと思われる重厚なテーブルとイスがセットされていて、そこで食事をいただく。
床の間には掛け軸、棚には女将が少しずつ揃えていったという趣味の良い骨董品が並んでいる。最初にお部屋を改装する際、工務店さんが民芸調に仕上げましょうと言われたのを「何を言っているの。大正ロマンのイメージで仕上げてください」と言われたそう。
夕食は創作和食。
基本的には和食の技法を使って作られたお料理なのだけど、盛り付け方がフレンチっぽい盛り付けだったりする。そして、器には周りの山から取ってきたといった素朴な風情のみずみずしいお花が添えてある。そういったところが素敵だった。
ソラマメのフランは 100CC位のビーカーにシャーレをかぶせたようなガラスの器。
ガラスの円筒状の器なので、中身のうす緑色がとてもきれいに見える。なめらかな薄緑の茶碗蒸しにエビが入った葛餡が上に層を作っている。
食べてみると、しっかりと取られた出汁の味が広がる なめらかな茶わん蒸し。
お次の前菜の盛り合わせは 一輪挿しにもなりそうな ガラス製の円筒の小さなグラスにそれぞれの前菜をつめて お皿の上にずらりと5つ並べてある。足元にはツル状の葉があしらってある。
茄子の揚げひたし、蟹の身の和え物、コーンポタージュ、うどのポン酢ジュレ和え、マグロの山掛けといったかんじ。透明のグラスにもりつけられているので、上から見るのではなく、詰められた形を横から見るような面白さ。
普通ならば、小鉢に盛り付けられて出てきそうなものが 盛り付け方を変えるだけで、雰囲気が全く変わる。
ここまでが フレンチっぽい盛り付けだと思ったら、お次の天ぷらとハモのお椀は 日本的な盛り付け。天ぷらには緑のもみじなどをあしらってあり、筍やうどなどの春の山菜も少し味わう事が出来てうれしい。天ぷらで春の名残を感じたら、お次のはものお椀で夏におもいを馳せる。はもにはまるのままの大きな梅が鋳込んであり、表面にも梅ソースの赤いぽっちがついている。梅は甘すぎず ほんのりと酸味があって 柔らかい仕上がり。
お刺身は縦長のカフェオレボウルにみょうがなどのツマと一緒に盛り付けられていて、こちらも斬新。
思えば、和食って基本的には平面のお皿などに盛り付けるものだった。小鉢を使ったとしても、あまり深いものは使わず、縦に向かって立ち上がっていくという事は少ない。椀物も、お椀そのものは深さがあるけれど、種はそれほど高さがないものが多い。
和食って平面に絵を描くような盛り付けだったのだなぁと改めて思う。
この土地で取れるものを中心に 季節を感じさせる食材が使われているところは和食そのもの。山椒やしらすなど、そういえばこの辺りでよく取れるのだったと思い出す。
とても華美ではないけれど、しみじみとおいしいなぁと思うこの土地ならではのお料理でした。
<この日の夕食>
食前酒 梅酒
ソラマメのフラン
5種類の前菜盛り合わせ
野菜と白魚の天ぷら
はものお椀
刺身
筍の煮物
鮎の焼き物
ごま豆腐
湯葉のくずかけごはん
デザート盛り合わせ
夕食は1階の食事処で供される。
10畳くらいの畳のお部屋に6人くらいは座れるのではないかと思われる重厚なテーブルとイスがセットされていて、そこで食事をいただく。
床の間には掛け軸、棚には女将が少しずつ揃えていったという趣味の良い骨董品が並んでいる。最初にお部屋を改装する際、工務店さんが民芸調に仕上げましょうと言われたのを「何を言っているの。大正ロマンのイメージで仕上げてください」と言われたそう。
夕食は創作和食。
基本的には和食の技法を使って作られたお料理なのだけど、盛り付け方がフレンチっぽい盛り付けだったりする。そして、器には周りの山から取ってきたといった素朴な風情のみずみずしいお花が添えてある。そういったところが素敵だった。
ソラマメのフランは 100CC位のビーカーにシャーレをかぶせたようなガラスの器。
ガラスの円筒状の器なので、中身のうす緑色がとてもきれいに見える。なめらかな薄緑の茶碗蒸しにエビが入った葛餡が上に層を作っている。
食べてみると、しっかりと取られた出汁の味が広がる なめらかな茶わん蒸し。
お次の前菜の盛り合わせは 一輪挿しにもなりそうな ガラス製の円筒の小さなグラスにそれぞれの前菜をつめて お皿の上にずらりと5つ並べてある。足元にはツル状の葉があしらってある。
茄子の揚げひたし、蟹の身の和え物、コーンポタージュ、うどのポン酢ジュレ和え、マグロの山掛けといったかんじ。透明のグラスにもりつけられているので、上から見るのではなく、詰められた形を横から見るような面白さ。
普通ならば、小鉢に盛り付けられて出てきそうなものが 盛り付け方を変えるだけで、雰囲気が全く変わる。
ここまでが フレンチっぽい盛り付けだと思ったら、お次の天ぷらとハモのお椀は 日本的な盛り付け。天ぷらには緑のもみじなどをあしらってあり、筍やうどなどの春の山菜も少し味わう事が出来てうれしい。天ぷらで春の名残を感じたら、お次のはものお椀で夏におもいを馳せる。はもにはまるのままの大きな梅が鋳込んであり、表面にも梅ソースの赤いぽっちがついている。梅は甘すぎず ほんのりと酸味があって 柔らかい仕上がり。
お刺身は縦長のカフェオレボウルにみょうがなどのツマと一緒に盛り付けられていて、こちらも斬新。
思えば、和食って基本的には平面のお皿などに盛り付けるものだった。小鉢を使ったとしても、あまり深いものは使わず、縦に向かって立ち上がっていくという事は少ない。椀物も、お椀そのものは深さがあるけれど、種はそれほど高さがないものが多い。
和食って平面に絵を描くような盛り付けだったのだなぁと改めて思う。
この土地で取れるものを中心に 季節を感じさせる食材が使われているところは和食そのもの。山椒やしらすなど、そういえばこの辺りでよく取れるのだったと思い出す。
とても華美ではないけれど、しみじみとおいしいなぁと思うこの土地ならではのお料理でした。
<この日の夕食>
食前酒 梅酒
ソラマメのフラン
5種類の前菜盛り合わせ
野菜と白魚の天ぷら
はものお椀
刺身
筍の煮物
鮎の焼き物
ごま豆腐
湯葉のくずかけごはん
デザート盛り合わせ
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